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S-SENCE「CAUSE & EFFECT」の感想

2010.01.09 | Posted in 音楽

ULTIMATE MC BATTLEでBEST 4という記録を残した、釧路からLIFE ART VISIONのS-SENCEによる1stソロアルバム。ジャケットを見て、この洗練されたデザインはどこかで見た事があるなあと思ったら、SNEAによるデザインである事が記載されていた。

S-SENCE「CAUSE & EFFECT」 2009.06.16 S-SENCE「CAUSE & EFFECT」

S-SENCEに対する印象は、ULTIMATE MC BATTLEでのラップによるものしか無い。それは、奇をてらったフローでは無く、しっかりと文末で韻を踏むタイプのMCだという。但し、この韻も突出した耳を奪われるようなラインが放たれるわけでは無く、「なんかどこかで聴いた事あるなあ」という想いが常に頭の片隅にあるようなそんな。それでもしっかりと言葉が聴き取れるところが好印象だったし、MC BATTLEのDVDを見終わった時に、この人の作品は聴いてみたいなと思っていた。

今作品、非常に良作だった。帯に「Cause & Effectをテーマに自分自身と向き合い、信頼できる仲間達と共に地に足をつけたピュアな音楽を意識し纏め上げたコンセプトアルバム。」と記載されているため、どこまでが普段のS-SENCEのラップなのかは判らないけれど、自身の音楽活動やHIP HOPと真摯に向き合っている姿が歌詞からも溢れ出ており、驕るでもなく他者を蹴落とすでもなく、全13曲がまじめに紡がれる。それが非常に好印象。ただ、残念な事に、MC BATTLEで感じた「なんかどこかで聴いた事あるなあ」という想いはこの作品の随所でも感じる。それでも、稚拙な言葉を用いて自身を驕っているアーティストよりも遥かに好み。

トラックについては、後半になるほどメロディアスなものとなっており、その折り返し地点ともなっているタイトル曲である「Cause & Effect」は熊井吾郎が担当している。あとは、HIRORONが一曲、LIFE ART VISIONのDJ KENZYなど。その他のプロデューサーについては初めてその音に触れた。全体として、確かなビートが刻まれるものの、やや線の細い印象を受ける。その細さが、歌詞のまじめさとぴったりとはまっていて、作品の完成度を高めている。

作品中、M-11「ツバサ」の2バース目、

愛とアイロニー 背中合わせ なにもない様に枝は分かれる
まるで陽炎 時を翔けろ 無邪気にどこまでも歩けた
でも足が重い 一度止まれば それでも見えてるきっと答えは
絶え間なく流れる水のようにflow 言葉放り込む
いっそ逃避行・・・ それじゃno vision 興味本位だけじゃfalling rolling stone
何か足りない 時には神がかりな程ありがたみがある言葉
一言シャウト「他人事(ひとごと)ちゃうぞ」って言ってたHIDADDYそれもきっかけ



この部分にはニヤリとしてしまった。これは、ULTIMATE MC BATTLEで確かFORKに負けた時のHIDADDYのコメント。この一言は、すごくトンチが効いてるなあと妙に印象に残っていた。それが、こうして全国のMCに伝わり、それをもきっかけとしたS-SENCEが同大会でBEST 4。少しだけ寒気がした。

本作品の最初の印象は、ファッション雑誌を模倣した芯の無いどこにでもいるような人かのような印象を受けたのだけれど、その真摯な態度が非常に好印象で、トラックとの融合という観点でも良作だと思う。ただ、最初に記した通り、聴いたことのあるラインがそこかしこにあるような印象も拭えないけれど。



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